そして、カティアは調査板を確認する。 Bの水晶のヒビが広がり、割れる寸前まで行っているが、しかし、ギリギリで割れていない。 これだと、ランク判断はCとすべきだろう。けれど、「Cで止まったとはいえ、も、もう少しでBランクの魔力……!? 凄い、ですよ、これ……!!」 正直、Cランク以上の魔力を持つものは、そう多くない。 カンパニーの幹部クラスや、戦争で活躍した戦士の生き残り、その他英雄に近しい人々がようやく辿り着いている、という飛び切りのラインなのだ。 人外の英雄に触れている、と言っても良いかも知れない。 だから、自分が驚きの声を上げたのだが、「あ、ああ……」 何やら困った様な、ぎこちない笑みを浮かべている。 本当にあと少しでBランクだったのだから、落胆しているのかもしれない。 Bクラス以上は、首都の王城に報告書を送り、ギルドでも貴重な人材として扱われる事になる。 その立場に、あと少しで手が届きかけていたのだから、無理ないかも知れない。けれど、「でもでも、この結果は素晴らしいモノなんですよ! 精霊術士になって、いきなりCランクだなんて。私が担当した中で、こんな凄い精霊術士の新人さん、見たことありませんもの!」 本心からの言葉だ。 酒場にいる周りの人々も目を見張って、頷いているし。 優れた職業者であり、優れた精霊術士になれる能力を持っている。 この事実は確かなのだ、と伝えると、「そっか。うん。受付さんが言う通り、素晴らしい結果だったと思っておくよ」 そう言って、普通の笑みを浮かべてくれた。 その様子を見て、悪い気分は抱いていないようで良かった、とカティアは思う。「はい、そう思ってくださいませ。アイゼン様は、とっても才気ある方なんですから!」 優秀な職業者の誕生に立ち会えて本当に良かった。カティアは目の前の精霊術士の新人から見えてくる、ワクワクするような期待感を抱きながら、そう思うのだった。