「それ、マリーのお父さんとお母さんから貰った指輪?」「そうだよ、アイテムBOXに入れっぱなしで忘れてた」「金で、できているにゃ? あいつらに貸した金の足しになりそうかにゃ?」「それは無理かもしれないなぁ」「そんな事ばっかりしてたら、いつか破産するにゃ」 この台詞は色んな人から言われるな。だが俺は、マリーと奥さんに貸したんだ。クロトンの奴には期待してねぇ。 まぁ、最初から金が返ってくるとは思っていないが。 目の前にある指輪は少々ゴツいデザインで、丸くて平らな石が嵌められている。だが、それを見た俺は、あるアニメのシーンを思い出していた。 2つの指輪を向かい合わせると、境目に文字が入っているというストーリーだった。 それを思い出して、指輪の石同士を合わせて、クルクルと回してみる――すると、本当になにやら文字らしき物が入っているではないか。「ああ、『2人の愛を共にここに刻む』――とか、そういう臭い台詞が入っているんだろう」 文字が解読出来るように、指輪を回してみる。「ん~、本当に文字が入ってるな。なになに……アストランティアを臨みし眼に、これを収めよ」 アストランティアを臨むって事は、上から見るって事だろ? そんな場所ってのは、崖の上からしかないだろう。「なんか解ったにゃ?」「もしかして、何かお宝の隠し場所かもしれないぞ?」「本当にゃ?」「本当?」 俺の腹の上で寝転がっていたアネモネも顔を上げた。「ああ、崖の上からアストランティアを見渡せる場所に、この指輪を使う何かがあるみたいだ」「にゃー! 早速、探しにいくにゃ!」「私も行く!」「そうだな明日、探索に行ってみるか」 3人で宝探しの話で盛り上がっていると、プリムラが会話に加わってきた。「プリムラも行くか?」「いいえ、私は街へ行きたいのですが……」「何か買い物か?」「はい……それで、夕方になったら、迎えに来てほしいのですが」「ああ、いいよ。お宝探しも、そんなには時間は掛からないだろうし……多分な」「一人で行くのか?」「いいえ、ニャメナを連れて行きます」「彼女もお宝探しに行きたいところだろうが、プリムラに雇われている身だしな、ははは」 ふむ、プリムラは何を買うつもりなんだろうな。迎えに来てほしい――という事は、俺のアイテムBOXへ入れるような大きい物を買うつもりなんだろう。 何かな? 高く売れるような、いい家具でも見つけたか? まぁ、彼女は目利きだ、そこらへんは任せよう。 明日の予定が決定したところで、アネモネの勉強をみてやった後、就寝した。