「――のう、旦那様よ」「うん?」 気だるい体を横たわらせる俺に、デミウルゴスが声を掛けてきた。 彼女は俺の左腕を枕にして、ひどく幸せそうに笑みを浮かべている。「体を重ねるというのは、ほんに心地よいものじゃのう。体と一緒に、まるで我等の心までもが繋がったようであった……あまりにも幸福を感じすぎて、どうにかなってしまいそうじゃったぞ」「ああ、俺もだよ」 肌を重ねるということが、これほどまでに多幸感を得られるものだとは、思っていなかった。 おかげで、初めてだというのに、少しやりすぎてしまった感がある。「体は、大丈夫か? 血、出てたろ?」 初めてを奪った証が、ふとももを伝ったとき、俺は思わず取り乱してしまった。 彼女を気遣う俺に、だがデミウルゴスは、瞳に涙を浮かべつつも、笑みを見せて逆に俺を気遣ってくれたのだ。「少しだけジンジンするが、心地よい痛みというヤツじゃ。気にするでない」「そっか……もし辛かったら、ちゃんと言ってくれよ」「大丈夫じゃと言うに……主はほんに心配性よな。まぁ、体を気遣われて、我も嬉しいがの」 俺は、デミウルゴスの腰に手を回し、彼女を抱き寄せる。「なぁ、デミウルゴス」「うむ。なんじゃ、旦那様よ?」 腕の中で首を傾げるデミウルゴスに向けて、俺は覚悟を誓う言葉を紡いだ。「これから先、何があろうとも、永遠に俺はお前の味方で、一振りの剣になり、守護の盾になる。お前と、お前の世界を脅かす全てのモノから、俺が必ず守り抜いてみせる」「……ああ。期待しておるぞ、我が旦那様よ。なれば我は、主への愛を永遠のものであることを、ここに誓おう……たとえ幾星霜の時が流れようと、我は主を、愛し続けるぞ。約束じゃ」 まるで、契約を交わすように、俺たちは唇を合わせた。 夜の森の中で、俺たちの影が1つに重なっている。 口を離すと、デミウルゴスが俺を慈しむように見つめてきた。 俺も、木々の間から差し込む月明かりに照らされる、純銀の乙女の姿に見惚れてしまう。 心の中の小さな蕾はほころび、今まさに、花を咲かせようとしていた。