俺はスピードを上げた。もう道路は乾いており、所々に水たまりがあるだけなので、それを避けながら走る。 この世界も左側通行だ。剣を左側に差すので、ぶつからないようにするためだ。 まぁ、鞘がぶつかったりしても、『決闘!』とはならないのだが。 それから2時間、男から身の上話を聞いたりする。 聞けば案の定、一か八かの勝負に出たようだ。まぁ、そういう商売は普通は失敗に終わるのが常なのだが。 そんな話をしている間に王都の街が薄っすらと見えてきた。「ほ、本当に王都へもう着いたというのか?」「目の前を見てみろ、本当だろ?」 小山の上に城を建てて、その周り城郭で3重ぐらいに囲った造りのようだ。 プリムラの話では、増築を繰り返しているので、もっと構造が複雑らしい。 そして城郭の中に収まり切れない小さな家々が、外にも溢れだし、その面積の方が壁の中より遥かに大きい。 人口は100万人以上らしいからな。北海道でいえば、札幌ぐらいの大きさがあるって事だ。 札幌で例えるなら、大通り公園辺りから札幌駅、すすきの辺りが城郭の中で、それ以外は壁の外。 ――ちょっと例えがローカル過ぎるか。