切なさを含んだ声に、アレンは物理的に距離を置けば、この気持ちもいつか消えてなくなると思っていたが、それは却って逆効果だったらしい。会わなかったら会わなかったで、今夏準は何をしているのかだとか、いちいち気になって仕方がない。 暗い部屋の中で、PCのモニターに向かって作業していたアレンの手が不意に止まる。時計を見ると二十三時を回っていた。夏準はそろそろ眠りに着く頃だろう。アレンはヘッドフォンを外すと、ワークチェアの背もたれに背中を沈めて深い溜息を吐いた。ギシリとチェアが悲鳴を上げる。「おやすみ、夏準…」切なさを含んだ声に、アレンは自嘲の笑みを漏らした。自嘲の笑みを漏らした。