「あの、やさしくしていただけますか?」 残念、男はその台詞を聞いてしまうと、野獣と化してしまうのだ。 そして、暗いお城の廊下にメイド長さんの悲鳴がこだました。「ひいいいっ! 姫様お許しおぉぉ!」 お尻を丸出しにした、メイド長が床に四つん這いにされて、王女からお仕置きをされている。 う~む、なんというファンタジーな光景――まさに男のロマン。「これは、素晴らしい威力だの! メイドに仕置きをする時には、これを使えばよいのか」「リリス様。残念ながら、それを使うためには特殊な魔力が必要で、私にしか充填出来ません」「何? それは残念じゃのう」「はひっ! あああっ!」「しかし、お城には魔道具作りが得意な魔導師がいらっしゃるのでは? その方に複製を作らせてはいかがでしょう」「おおっ! そうじゃ! 誰かある! カールドンを呼べ!」 パタパタと走る音が聞こえたので、誰かが件の魔導師を呼びにいったようだ。 その間にも、王女はメイド長を責め続け、メイド服の肢体が床の上でぐったりと失神した時――1人の背の高い男が現れた。 黒い装束に、黒い外套、黒く長い髪を後ろに結び――神経質そうな男が丸い小さなメガネを左目につけている。 歳は40近いだろうな――俺と同じぐらいか。