「皆、分かっていますね」 ファーステスト邸に戻った5人は、顔を見合わせる。 キュベロの言葉に、コスモスが挙手をした。「何でしょうか」「パンツがぐしょぐしょなので帰っていいですか」「……もう少々お待ちを」 恥ずかしげもなくそんなことを言うコスモスに面食らいながらも、キュベロは言葉を続ける。「私はこの一時間で、歩兵体術を七段に、銀将体術を五段に上げることができました」「おう。あたしの体術もそんなもんだ」「わたくしも歩兵剣術を五段に上げましたわ」「私も杖術が軒並み絶頂って感じです」「……ぁ……も」 皆それぞれが、スキルを上げたことを報告した。イヴも言葉にはできていないがこくこくと頷いている。「私たちは……セカンド様に与えていただいてばかりです」 キュベロの呟きに、全員が同感だという顔をした。「何故、このような経験をさせてくださったのか。その真意を汲み取らねばなりませんよ」「わたくしはもう分かっています。ご主人様は、私たちに戦力として期待されているのですわ」「それもあるだろうけどよ、あたしたちを成長させて、使用人全体に活を入れるってことじゃねーか?」「そうですね。そしてゆくゆくは挿れたり出したり……」「……?」 コスモスの呟きにイヴが首を傾げた。エルがコスモスの頭をひっぱたくのを待ってから、キュベロは口を開く。「何としてもご期待に応えましょう。たったの1時間でしたが、学ぶべきことは星の数ほどありました。セカンド様と我々とでは、見えている世界が違う。それがはっきりと分かった今、やるべきことは一つ」「少しでもご主人様に近付き、お役に立てるよう精進するのですわね?」「ええ。我々は、あの方に教わることができる。これ以上の環境はありません」 世界一位に教えを乞える。そんな素晴らしい環境は、この世界の何処を探してもここにしかなかった。「セカンド様にダンジョン攻略について教わり、使用人のみでダンジョン周回が可能となるよう各自研鑽を積みましょう」 ファーステストの使用人が、他に類を見ない猛者集団となる、その第一歩を踏み出した。「ところで、ご主人様って格好良すぎません?」「そりゃ今更って感じだな」「……っ……ぃ」「あの、ふと思ったんですけれど。イヴさんってとても分かりやすいですわよね」「あぁー、確かになぁ。こんなに可愛いのになんで怖がられてんのかねぇ」「……ぇ?」「顔、真っ赤っかですよ~イヴっち」「~~~っっ……!?」 アルビノゆえに肌が真っ白なイヴは、少しでも照れたり興奮したりすると、肌が真っ赤に染まってしまう。「ご主人様を後ろから見ているだけでゆでダコみたいになってましたわ」「あっはっは、不憫だなぁそりゃ」「…………」「落ち込むことないですよイヴっち。私なんてご主人様を見るたびに下着を換えなきゃいけないんですから」「そりゃちっとも不憫じゃねーな」「おーっほっほっほ!」「パニっち許さない」「何故わたくしだけ!?」「笑い方が気に食わないです」