「信じらんないっすよもぉーっ!」 むせび泣く犬耳の青年カピート君。 酒が入っているせいか、声がやたらでかい。「セカンドさん! 見ましたよね!? あの性悪女、当てつけみたいにアクアドラゴンをテイムしてきたんすよ!?」「もっと凄い魔物をテイムすりゃいいじゃん」「かぁーっ! 流石っす! その女に完膚なきまでに圧勝した男は言うことが違いますねぇ!」 褒められているはずなのに、なんか腹立つな。 よし、慰めるつもりだったが、説教してやれ。「アースドラゴンと、ホノオウルフと、カミカゼイーグルだったか」「そうっすそうっす」「いいチョイスだな。だがこのままではヴォーグに勝てないってのはわかるか?」「っすね。絶望的だと思います、自分でも」「何が足りないと思う」「……精霊、ですか」「と?」「と……? えーと、後、もっと強い魔物っすか?」「と?」「とぉ……? えー……あ、ステータスっす!」「と?」「え、まだあるんすか!? えーっと……」「いや、そんくらいだった」「なんなんすか!」 そう、精霊と、魔物と、ステータス。つまり……「お前、全て劣ってるぞ。ヴォーグに」「……い、言わないでくださいよぉ……」 犬耳をしゅんとさせて、がくっと項垂れた。 そんな情けない様子を横で見ていたシェリィが、口を開く。「つまり、ヴォーグに圧勝したセカンドには、全てが圧倒的に劣ってるってことよね」「うぎゃあああーっ!」 カピート君が叫びながら耳を塞いだ。 いや、人間部分の耳を塞いでも、犬耳があるからあんまり意味はないんじゃなかろうか……?「というかシェリィ。お前も人のこと言えないだろ」「ふんっ、私はいいのよ。なんてったって、伸びしろがあるんだから!」「めげてないな」「当然でしょ! あんたに勝つまでは絶対やめないわよ」「いいぞ、その調子だ」 そして、俺へと挑むことになった時、シェリィもまたヴォーグと同じ絶望を味わうことになるだろう。 カピート君は、それ以前の問題。今回の敗北を乗り越えられるかどうかだな。「……うん、シェリィさんの言う通りっす! いつまでもめげてちゃ駄目ですね。そう、伸びしろ! ああ、いい言葉っす~」 ……いや、大丈夫そうだった。単純だなぁカピート君……。「あ、ところでセカンドさん。あの魔物、いや、魔人、一体なんなんすか。オレ、見たことも聞いたこともないんですけど」「あ、私も気になるわ。まあ、秘密って言うんなら、今度の勝負まで楽しみにしといてあげるけどっ」 宴もたけなわという頃、二人が唐突に尋ねてきた。 ミロクか。確かに、ずっと人型のままだったから、なんの魔物かわからないだろうな。いや、元の姿に戻ったとしても、多分わからないだろうが……。「とりあえず喚ぶか」