「うん!」 アネモネの気合も十分なようだ。「アネモネ、狭い洞窟の中だからな。魔法の威力を増す、あの金属は使わないでくれよ」「わかった」 俺は、アイテムBOXからシャングリ・ラで買った新兵器を取り出した。 買った物――それは、黄色い缶に入ったバズーカみたいな殺虫剤だ。 これなら12mは飛んで、バリケードの向こうにも十分に届く。本来は蜂用の殺虫剤だが、成分にはピレスロイドと書いてある。 同様に、蜘蛛用の殺虫剤にも同じ薬剤が書いてあったので、こいつも蜘蛛に効くだろう――と思う。「この武器を使ってくれ。こうやって手でもって、弩弓みたいに構えて引き金を引くと毒が発射される」「本当かよ!」 ニャメナが、バリケードの向こうに狙いを定めて、引き金を引くと白い霧が勢い良く暗闇の中に飛んでいく。「こりゃ、すげぇぇ!」「にゃにゃ!」「こらこら、あまり使うな、直ぐに薬剤がなくなるからな。洞窟蜘蛛に効くかどうかは解らんが」「こうなりゃ、何でも使ってみようぜ」 そうと決まれば作戦開始だ。 蜘蛛を誘き寄せるために、発電機にガソリンを入れてスターターを押す。 発電機が回り始めたので、そのまま電動ハンマを使って水晶を掘り始めた。 けたたましい騒音と、岩肌を伝わる振動。前も掘削をし始めたら、すぐに蜘蛛がやって来たからな。「ひゃぁ! こいつは煩ぇ! こんなにデカい音がするんじゃ、近くまで蜘蛛がやって来ないと解らねぇぞ!」「どうせ、近くまでこないと何も出来ないにゃ!」「そりゃ、そうだけどよ……」 しばらく、岩肌を電動ハンマで叩いていると、奥から奴がやって来たらしい。「ケンイチ、来たにゃ!」「マジで来やがったぜ!」「シャーッ!」 ベルが激しく暗闇へ向かって威嚇をする。 俺は、すぐに発電機のエンジンを切った。またガス欠になったら、ガソリンが勿体ない。