魔法適性のある者に使えば、これは発光します」 そう言われ、アズリーは改めて自身の胸元を見る。 確かに発光している魔術陣に、アズリーはホッと息を漏らす。 目をミネルバに戻したアズリー。それを確認したミネルバが、また人差し指を光らせる。「ほいのほいのほい、魂魄開示」 それは、誰に向けられた訳でもない魔術陣。 宙で止まる魔術陣に、アズリーは首を傾げる。「こんなものでしょうか?」「……え?」「世界有数の魔力を持つ男の発光は……こんなものなのでしょうか?」 アズリーは、ミネルバの言葉の意味がわからなかった。 しかし、次にミネルバの指が動いた時、それが理解出来たのだ。「&リモートコントロール」 止まっていた魔術陣に、操作魔法が合わさる。 魂魄開示の魔術陣は、ミネルバの胸元に描かれる。 自身の魔法適性を見せようとしたミネルバの真意。 それは、すぐに理解出来るものだった。 ――ミネルバに発動した魔術陣は、アズリーよりも明るく発光していたのだ。 自分以上の光度の高さを見せつけられ、今一度自身の胸元を確認するアズリー。「これは、ほんの少し魔法適性が高い程度の光度です」 アズリーが何度魔術陣を見比べても、それは明確な差だった。 ミネルバは更に言葉を続ける。「それは、魔法適性が明らかに低い者の光度」 アズリーに描かれた魔術陣を指差して言い放つ、ミネルバの一言。「アズリーさん、貴方は……とても愚かな選択をしています」 それは、魔を愛した男に向けられた――無慈悲な一言だった。