はは、仔牛と同じ運命にはさせないから」 きのこの山をむさぼり食いながら約束した。 だいいち仔牛どころじゃないだろこれ。成牛ホルスタインもびっくりだぞ。 ──なんて、琴音ちゃんのどこを見てそう思ってるかは内緒だ。「そ、そうです。仔牛だって、乳しぼりされる相手くらい自分で選びたいに決まってます」「ぶはっ!!!」 きのこの山を吹くわそんなん。「げほっ、いや、たとえが」「わ、わたしは祐介くんなら、いつでも」「だーかーらーそれはないって! だいいちまた初音さんに」「…………あ、ああっ!」 焦った俺が初音さんの名前を出すと、琴音ちゃんが何かを思い出したように叫んだ。「ど、どうしたの?」 トラウマがよみがえったのかと慌てたが。どうやら違うようだ。「そ、そうです。許されたことを、詳しく報告するのを忘れてました!」「ん?」 許されたって……例の、かな。「俺と琴音ちゃんが交際することに関してだよね。その話は聞いたけど」「それだけじゃないんです!」「へ?」「今後、祐介くんとなら、接吻でも乳しぼりでも交尾でも、自分の判断でしていいと、お母さんから許可をいただきました!」「……」 脳内回路がショートして、何を言ってるのか理解するまでに数秒かかった。「は、はあああああぁぁぁぁぁ!?」 俺たち以外誰もいない教室内に、童貞高校生の叫びが響き渡る。 どういうことだってばよ。あと、なんで動物扱いなんだ。