ああ、わかった。こいつ、同類だ。「ミロクは、お前の弥勒好きに感化されたってか」「ええ、恐らく」 なるほどなあ。 理由が粗方わかって、ちょっとスッキリした。 しかしまあ、なんとも不思議な話だ。俄かには信じ難い。 でも、現に俺も転生しているしなあ……不思議に対していちいち首を傾げていたら、肩が凝るってなもんだろう。「不思議という顔をしていますね。しかしながら、受け入れるよりないのです」「まあ、お前の伝えたいことについてはわかった。謎ばかりだがな」「それでよいのです。浮世は謎ばかり。決して“わかった気”になってはいけませんよ」「……お前、なかなか良いことを言うな」 それについては強く同意だ。したり顔で「○○っていうのは××なんですよぉ」と然も全てをわかっているかのように宣う輩は俺も大嫌いである。「で、用はそれだけか?」「ええ、これだけです」「……自分で言っといてなんだが、本当にこれだけか? なんか、もっとこう、ほら、千年の重み的なやつとか、ないのか?」「特にないですねぇ。こうして貴方と言葉を交わせたことで、私はもう大満足。今にも成仏してしまいそうです」「この世界に来てんのは変なやつばっかだな、どいつもこいつも」「貴方も、ね……」「…………ああ、もう、終わりか」 きっと、これが彼の最期だ。 シャカの、いや、高橋さんの存在感が急激に薄れていくのがわかる。 ミロクの頭の右側についたお面の瞳に灯っている炎が、徐々に徐々に小さくなっていった。「お後がよろしいようで。お待ちの方も、ご期待通り、相当な変わり者ですよ。では、セカンド。また、いつか、いつの日か、できることなら、再び、巡り合い、また、こうして、話、を――……」 ……消えた。完全に。 成仏したんだろう。 ミロクの中から、シャカはいなくなった。