「なんだよー乗りが悪いなぁ」 彼女は、俺が誘いに乗ってこないのが不満のようだ。マジなのか冗談なのか、イマイチ判別が出来ないのだが。「ケンイチは、そこら辺にいる男共とは違うのにゃ」「それは認めるけどさ」 ニャメナにおやすみなさいをすると、俺は家に戻ってきた。 ------◇◇◇------ ――次の日。 プリムラとアイリスは、朝から売るためのスープを作っている。鍋1つでも足りなくなったので、2つ仕込んだようだ。 荷物をアイテムBOXへ入れて、いつもように街へプリムラを送っていく。そして街の手前で、収納から4輪カートを出した。「今日は荷物が多いな。この荷車をもう1つ出すか……」「荷車に入りきらない分は、ニャメナに運ばせようかと思っていたのですが」「同じ物がもう一つあるから、アイリスに引かせればいい」 アイリスに複式簿記を仕込んだ後は、彼女の家で仕込みをさせるようだ。 そうすれば、俺の家から運ばなくても良くなる。 彼女達を見送った後、俺は家に帰ってきて、ミャレーと一緒に小屋作りの続き。 昼前には形は完成した。 ここに小さな窓を備え付け、防水シートとガルバリウム鋼板を貼っていく。これで2度目の製作だ――殆どの作業は把握しているので滞りなく進む。 夕方、プリムラ達を迎えに行き、帰ってきたら飯を食う。それを何日か繰り返し、間に畑作業を挟んだりしたが小屋は完成した。「さすがに2回目は早いな」「にゃー!」 ミャレーが屋根の端を掴まえると、屋根の上に飛び乗った。 身体能力が凄すぎる――だが、屋根に手を付いたミャレーが、叫び声を上げた。「あちゃー!」 彼女は慌てて、屋根から飛び降りた。直射日光で屋根が加熱されていたのだ。 家の屋根は板張りだが、この小屋はガルバリウム鋼板だ。 もしかして――ドアを開けて中に入ると――もわっとして熱気が小屋の中に充満している。 俺は慌てて窓を開けると、ついでに、ここで実験をする事にした。 液体を分離する魔道具を使って、混合燃料から2ストオイル成分を抜く実験だ。 現状オレンジ色の鉱石を掘るためには大型のガソリン発電機を使わないとダメだ。この大型発電機は4ストロークエンジン。 だが、シャングリ・ラで手に入るガソリンは草刈機やチェーンソーに使う2ストロークエンジン用の混合燃料だ。 こいつには予め2ストオイルが混合されている。 このままでも発電機の燃料として使えない事もないのだが、余計な2ストオイルが入っている為に白い煙を吐いてしまう。 そいつを取り除いて、普通のガソリンを精製するつもりなのだ。 小屋の窓を開けると床に魔道具を出して準備を始め、上の器に混合燃料を入れる。 そして、中間の器に2ストオイルを入れる。ここに入れた物が、上の器から引かれるわけだ。 直ぐに、左右の通路を液体が流れ始めた。