かっちゃん、君になら何もかもあげたっていい。そう思っている。でも、・・・本当は、何もかも欲しいんだ。「ごめんね、ごめん」どこから何から謝っていいかもわからずただただそう繰り返す。「うぜェ。べそべそすんな」と勝己は出久の前髪をかきあげた。「で、でも、困るでしょ、かっちゃんが」と涙で前が見えないまま言うと、「知らん。けど、すっきりはした」と返事がきたので驚いて涙をごしごしこすって見上げると、覆いかぶさって見下ろしてくる勝己の、見たこともない変に歪んだ難しい表情の顔が青空に映えていた。わずかに耳のふちが赤い。