ふうん? どういう意味だろう? きょとりと僕とマリーで小首を傾げると、まるで生徒を相手にするようウリドラは覗き込んでくる。さらりと真っ直ぐの黒髪が垂れ、人差し指をこちらへ向けてきた。「ほれ、仮に成仏させられたとしても、彼女の本体はここに無いじゃろう。わしの見立てでは、第二階層の広間へ戻るに過ぎぬと思うておる」「あ、そういう事か。んー、そうなると日本に来たシャーリーは、僕と同じ完全な不死になるという事かい?」 ハテナ、とシャーリーから疑問符が飛んでくるのを感じた。 憑依しているので姿は見えないけれど、たぶん青空色の瞳を丸くして僕を見つめているのかな。ぽやんとした表情を思い浮かべ、その人畜無害そうな様子に肩の力は抜けてしまう。 ……うん、だからどうしたという話で、あまり深く考えても仕方ないな。どちらにしろ僕らの目的地は寺院では無いからね。 当の柴又帝釈天の入口へたどり着くと、目の前には賑やかな商店街が広がった。