私が思わず声をかけると、カイン様は寂しそうに微笑んだ。「ごめん、少し弱気になってしまったね。ヘンリー殿下の話ができるのは、リョウだけだから……」 そう言って、一度言葉を止めて、今度はいつもの爽やかな笑顔を私に向けてくれた。「大丈夫、ヘンリー殿下を支えていきたいという気持ちはある。だから、領地に帰るのは保留にさせてもらったんだ。せめて、ヘンリー殿下が、本気で私に『お前が離れたら困る』って言わせるぐらいの存在にならないと領地にはもどれないな」 と、自分で自分を奮い立たせる様子が本当に相変わらずのカイン様だ。