頭が良いのもゆき子ちゃん譲り。沙希子ちゃんは一瞬で状況を判断した。
しかし、逆にそれが仇となってパニック状態に陥ってしまう。
「や、やぅっ、やぁぁっ!」
無駄にも首輪を外そうとする。
「無駄だよ、沙希子ちゃん」
「は、はなして、はなしてよっ! やぁぁっ!」
うわあんと涙をぼろぼろと零し、首の辺りを掻き毟る。
「ぎゃっ!」
立ち上がろうとしてリードに引っ張られ転倒し、スカートの中身が丸見えになる。
立ち上がり、引っ張られ、転び。立ち上がり、引っ張られ転び。まるで壊れた玩
具のようだった。
そんな事を繰り返している内に徐々に体力が失われたのか、沙希子ちゃんはぜえ
ぜえと肩で息をしながら指先で涙を拭い始める。
「お、おふちに、おふちに、ひぐっ、かへして……」