おや、良かった。彼はきょろきょろと周囲を眺めてくれた。 気がついたかな、どこまでも遮蔽物や逃げ道の無いことを。追い続けて来てくれて助かったけれど、こうして逃げることを考えたのは久しぶりじゃないのかな?「あっ!?」 だからこうして、僕が砂へ足を取られたような幻影に引っかかる。 渾身の振りで幻影をみじん切りにして……あれぇ、もう両脚を切り落とすという宣言を忘れたのかい? がらあきの脇の下へと吸い込まれてゆく僕の剣は、がぎん!と硬質な音とともに弾かれる。ははあ、自動迎撃を自動防御へ切り替えたか。ならばもう、全力で攻撃できるということじゃないか。 ギギギイイイーーーッッ! おびただしい汗は、もう忘れる。 これほどのエネルギーを秘めた星くずの刃を僕は知らない。 猛烈な連続攻撃は自動防御へと飲み込まれ、しかし幾つもの傷を彼は生んでいる。焦りをさらに濃くするのは、この星くずの刃を怖れてのものだろう。「クソがあああーーッ!!」