レイとしても目の前にいる商隊を囮として使うつもりではあるが、当然傷つけるつもりはない。「……本当にお前さんを信じてもいいんだな?」 商人の言葉に小さく肩を竦めたレイは、口を開く。「別に信じないなら信じないでもいいんだけどな。こっちとしてはそこまでお前達に拘る必要もない。ギルムとアブエロを行き来している商人や商隊って意味では、他に幾らでもいるんだから」「それは……」 言葉に詰まる商人を一瞥し、この商隊のリーダーであろう気弱な商人へと視線を向け、最後の意思の確認も込めて尋ねる。「それで、俺の提案を受けるってことでいいのか?」「はい、お願いします」 気弱な性格とは裏腹に、即断して商人は頭を下げる。 その様子に多少驚きつつも、レイはそんな商人の様子に好感を抱くのだった。