「次の方、お座りくださーい」「む、わしの番じゃなあ。では行って来るぞ、2人とも」 初めてのウォータースライダーに、興味津々の様子でウリドラは腰を下ろす。あれ、係員の女性がウリドラを見るなり、「トゥンク」という心音が聞こえた気がしたぞ。周囲はスローモーションになっているし、ピンク色がかっているのは……なんだこれ。「おねえさ……お客様、こうしてむ、むむ、胸を抱えて……ああ、完璧です、素敵です。おみ足も真っすぐ伸ばせば……もう、もうっ、私の理想でございますっ!」「ふむ? さすがは日本人の係員じゃ。実に丁寧な応対であるな。では、下で待っておるぞーー」 そういうわけで、係員の丁寧すぎる指示のもと、切り込み隊長ウリドラは滑ってゆく。 青色のスライダーはぐるぐる曲がりくねり、やがて最後の直線になると加速してゆく。そして十分に速度をつけると水面を滑るようにして着水した。 円形に波は広がり、おいでおいでと黒髪美女は手を振ってくる。「では、腰を下ろしてくださーい」 びぐん!と係員の声にエルフさんは震える。しかし後方からは子供たちも待っているので、もう後戻りは許されない。うわぁ、本当に嫌そうな顔をしているなぁ。 せめてもの抵抗というべきか、僕の手をぎゅうっと握り、スライダーへ腰を下ろす。「ひゃっ、冷たいっ! ね、ねえ、どうして水が流れているの!?」「そのほうがスピードがつくからね。変に暴れると危ないから、じっとしているんだよ」