「貴方に感謝と謝罪をさせてくださいませんか? 今後、リオとしての貴方と接することがないとしても、ハルトとしての貴方と接する上で、謝罪の意を表明したいのです」 ハルトがリオであると本人の前で知ってしまった以上、謝罪は必ひつ須すだった。その上で今後はリオという人間に対して一生、恩義を抱いて生きていく。一生をかけて恩を返していく。クリスティーナはそう考えている。「感謝のお言葉も謝罪のお言葉も既すでに頂ちよう戴だいしていると思うのですが……」 リオが困り顔になる。「何度申し上げても足りません。これは誠意の問題です。貴方が我々のためにしてくださったすべての恩にお礼を申し上げると共に、過去に起きた数々の過あやまちを謝罪します。今さら許されることではありませんが、今後は二度と、恩を仇あだで返すような真似はしないと誓わせてください」 クリスティーナは毅き然ぜんと語り、リオに頭を下げた。「ありがとうございます。そして申し訳ございませんでした。私が、私のせいで、指名手配を受けることになり、ご迷惑ばかりをおかけして……」 フローラも姉に倣ならって頭を下げる。「わかりました。許しますので、そう大おお仰ぎように構えないでください。では、こうお伝えすればよろしいでしょうか? 私がお二人をお救いしたのは、打算的な理由も含ふくまれているんです」 王女二人に頭を下げられ、リオが少し焦って言う。「打算的な理由、ですか?」 いったい何だろうと、クリスティーナは小首を傾かしげる。「レストラシオンの安定はセリアの生活基き盤ばんの安定に繋つながります。だからお二人には無事に組織へ合流していただきたい。そういった意図で今もお二人を保護しているんです」 だから大仰に恩に着る必要はないし、本当に気にしなくていいのだと、リオは言外に訴えた。すると――、「では、セリア先生の優やさしさと貴方の懐ふところの広さに、心より感謝いたします」 クリスティーナはわずかに罪悪感を滲ませて微笑ほほえみ、頭を下げたのだった。