「やあ、しかし……驚くほど頑丈だね、君は」 半身を黒焦げにさせた彼は、片目を失った瞳でこちらを見上げた。 怯えきり、命乞いをするような表情をしているけれど、まさかそれは僕に向けているのかな。「なに、イブとの約束だから殺しはしないよ。その代わり、君の大事にしているものをいただこう」「~~……ッ? ………っ? ひぃっ!」 ぐり、と右手を踏みつけ、そして指輪へ触れると彼は悲鳴をあげた。硬く握り締めようとする指に、僕は小首を傾げてしまう。「おや、指ごと切り落として欲しいのかな。さあ手を開くんだ」「ふっ……、ふぅっ……、ふーー……っ!」 ぶるぶる震える指は、言いつけ通りに開かれる。 そこについている4つの指輪――反対側も含めると8つか――は、どうするのかもう決めてある。 ひとつひとつを外してゆく。 これは彼の生み出した最悪の技能であり、女性をただ束縛し続ける恐ろしいものだと思う。 というよりも、これが僕にとっての目標だ。 気を失っているとき取り上げることもできた。しかし、そうしたならば彼は血まなこで僕を追っていただろう。 だからこそ完全な状態で倒さなければ、このように彼の心を折り、平穏を手にすることは出来なかった。 余程の思いをしているのか、搾り出すような声を彼はあげた。「やめてくれ……それが無いと俺は……ッ!」「安心して欲しい。これは君の部下たちへ手渡すよ。どうするかは彼女たち次第だけど、ちゃんと接していたなら君へ返してくれるんじゃないかな?」「……ッッ!?」 まあ、たぶん壊すか捨てるかだろうけど。いや、そういえばウリドラも欲しがっていた気がするな……。