……そう言われてみたら、そんな気もするわね。あれ、だったら、カノープスはどうやって情報を仕入れていたのかしら? 私のことは私以上に知っていた印象があるのだけど。こてりと首を傾げた私に向かって、カノープスは真顔で答えた。「あなた様のお側に仕えさせていただき、周囲から情報を集めることで、私はあなた様のことを理解しておりました。ですから、今後もお側に仕えさせていただければと思います」「………………」それは、このサザランドにいる間だけの話なのかしら?あれれ、魔王の右腕の話をしなくても、私にくっついてくるなんてことはないわよね?そもそも私の護衛騎士だったのは300年前の話で、今のカーティス団長は全く別の人間なのだから。……ああ、そうね、それはないわね。カーティス団長にはカーティス団長としての、別の人生があるのだから。そして、私はもう、王女セラフィーナではないのだから。もう一度、私の護衛騎士になりたい理由なんて、全くないわね。そう結論付けた私は、カーティス団長の提案が、このサザランドにいる間だけの話だと理解した。だから、私は簡単に返事をした。「ふふ、よろしくお願いするわね、カーティス」私の言葉を聞いたカーティス団長は、まるで聖痕を目にした聖職者のように、酷く静粛で神聖な様子で深々と騎士の礼を取った。……その時の私は、久しぶりに目にしたカーティス団長の所作の美しさに見とれていた。さすが元王女付きの護衛騎士だわ、美しいものね、などと呑気に考えていた。―――だから、決意を込めて細められたカーティス団長の目線に気付くことはなかったし、私の言葉がどれ程の重みを持ってカーティス団長に受け止められたかなんて、全く理解していなかった。