「しかし、プラチナにこんなに価値があるとは……最初に、プラチナのアクセサリーでもつけてりゃ、もっと簡単に成り上がれたのか。俺もトレジャーハンターになろうかな?」 アキラが、自分の境遇に悩んでいる。「それも手だぞ? 戦っても、自分のためなら納得も出来るし」「そうなんだよ。お偉いさんのためなんてのは、もううんざりだ。俺には忠誠心の欠片もねぇし!」 俺達の話を聞いて、親方が話に入ってきた。「森の奥深くの未到達領域には、誰にも知られていない遺跡があるって話だしな」 テキトーに遺跡でプラチナを拾ったと言ったが、マジでそういう事例があるようだ。「むふふ、そいつはいい事を聞いた。遺跡攻略なんて簡単だ。油をドンドン流し込んで赤猫を這わせりゃいい」 金貨は溶けても金の価値があるし、プラチナはそのぐらいの温度じゃ溶けないしな。 生き物がいても、火炎で焼かれるか窒息するだろう。チート持ちのアキラらしい攻略法だ。 しかし、生き物の素材や紙の資料等があっても、全部燃えてしまうな。それに火が完全に消えるまでかなり時間が掛かるのではないだろうか? そう考えると、彼と一緒には探索などの行動は出来ないな……。「そりゃ、かなり力押しでチートな攻略だな」「別に攻略に決まりがあるわけじゃねぇだろうし」「そりゃそうだが――遺跡なら貴重な資料等があるかもしれないぞ?」「あまり興味はねぇな」 彼は余り学術的な物には興味がないようだな。「レイランさんはどうです? 遺跡には貴重な魔法に関する学術的資料とか、知られていない魔導書があるかもしれませんよ」「アキラ~私に断りもなく、そんな事をしたらどうなるか……」「は……は、大丈夫だよセンセ! その時は相談してからにするからさ」 アキラがレイランさんに詰め寄られて、あたふたしている。 さて、買った商品は受け取ったし、公爵邸へ戻る事にするか。 皆がクビを長くして待ってるはずだ。