ジロリと私を睨みつけると、馬鹿にしたような声を出す。「お前すげえな。滅多にないことだが、死に損なっている魔物に出合わせたんだろう。それで、従魔の契約を行ったな?」「えっ?! 何で分かるんですか?」驚いてギディオン副団長を仰ぎ見ると、心底馬鹿にしたような顔をされる。「なぜなら、オレはお前の100倍、頭がいいからだ。お前、そんな弱小魔物を一頭従えているからって、オレらと対等だなんて思うなよ。お前が100頭の魔物を従えたとしても、オレの足元だからな」どんと肩を押されたが、私は首をひねるしかない。あれ?想像に勝るものはないというシリル第一騎士団長の作戦は、合っているのかしら?何か今、ザビリアがすごく弱いと断定された気がするんだけど、気のせいかしら?私は、必死にシリル団長との会話を思い返してみる。ええと……(フィーア回想)シリル団長「だから、あなたは強い顔をして、思わせぶりな態度を貫いて、魔物の名前を出さない方がよいと思うのですが。……ですが、幅1ミリというのは、私も初めて見ましたし、どこまでブラフが通用するかですが……」……そうだった。強い顔をして、思わせぶりな態度を貫けって言われたんだった。これこれ、これが足りてなかったんだわ。私は、ギディオン副団長に向き直ると、ふふんと顎を上げてみる。「お言葉ですが、ギディオン副団長。私の従魔は、そんじょそこらにいる魔物とは違いますよ。最強で最古の…………おおっと、あまり話し過ぎるべきではありませんね」わざとらしく口を手で押さえてみたけれど、ギディオン副団長は馬鹿にしたような目で見下してくる。「お前、馬鹿だろう。お前は、絶望的に体格に恵まれてねぇ。小せえし、細え。間違いなく、全騎士の中で最弱だ。そんで? 騎士としてはやっていけないから、従魔の力でも借りようと思ったか? だがな、魔物は主を見る。お前につく魔物は、お前相当だ。つまり、最弱で口だけの、みっともねぇ従魔ってことだ」