私はしゃがみこんで雪野君に背中を見せた。こうなったら私が雪野君をおぶっていくしかない!
「でも…」
雪野君は遠慮しているけれど、そんなこと言ってる場合じゃない。相変わらず顔色が真っ白じゃないか。吸入器を使ったおかげか、さっきよりは楽になったのかもしれないけど、治ったようには全く見えないよ!
「いいから、早く!」
私が急かすと、雪野君はおずおずと私の背中におぶさってきた。途端にずしっの圧し掛かる重み。雪野君は痩せているといっても小学1年生だ。やはり重い。この体勢から立ち上がれるか、私?!
でも私の耳元では雪野君の相変わらず苦しそうな呼吸音。私の肩に置かれた手も冷たい。
よーーしっ!女は根性っ!目覚めよ!この夏休みにジョギングで鍛えられた私の足の筋肉!
ぬおおおおおおおっっっ!!
私は雪野君を背負ってガンッガンッと立ち上がった。よしっ、行ける!