「プリムラ、この薬を飲め。痛み止めだ」「はい」 薬を飲んでも、すぐに効き目があるわけでもないが、歩いているうちに効いてくるだろう。 街の通りを彼女と手を繋いで歩く。「俺が書いた手紙は届いたか?」「はい、フヨウという商人が届けてくれました。彼の話では北に向かったという事でしたので、貴方がアストランティアにいる可能性が高いのは解っていたのですが」 ありゃ、そういえば――あの商人に口止めするのを忘れていたような……。「あれに書いていた、新しいドライジーネは?」「今、父が職人に頼んで試作中です」 チェーンは製作するのが難しいからな。 昔ヨーロッパで流行った、前輪がデカい自転車なら似たような物が作れるだろう。要は三輪車のお化けみたいな物だが。 ここでオフロードバイクを出せれば早いのだが、あまり目立つのは得策ではないだろう。 青空の下、門を抜け街道を歩くと森の中へ入る。「アストランティアの街へ住んでいたのではないのですね」「色々と魔道具を使いたいから、ひと目の付かない場所の方がいいんだ」 森の中へ進むと、人目のない事を確認して、オフロードバイクを出す。「こ、これは?」「魔法で動くドライジーネだ。漕がなくても進む」「シャガのアジトから私達を乗せてきた、馬なしで動く荷車みたいな物でしょうか?」「その通りだ。俺の言う事を聞いてくれる召喚獣だ。こういう物を街の中で使えないだろ?」「直ぐに商人や貴族が押し寄せてくると思います」 シャングリ・ラから大人用のヘルメットを1個購入して、彼女に被せる。「これは、兜ですか?」「そう、コケると危ないからな」 バイクに跨がりエンジンを掛けると、彼女に後ろに乗るように促うながす。 恐る恐るバイクのシートに跨がる彼女に、俺の腰を掴むように言う。「こうでしょうか?」 スロットルを煽ると、乾いたエンジン音と共に森の中をバイクで走りだした。 木漏れ日の中、立ち並ぶ木々の間を縫うように走り抜ける。「わわわわ……」 プリムラは、バイクのスピードに戸惑っているようだが、そんなにはスピードは出していない。 何回か街への行き来をしているので道も定まってきて、区間タイムが上昇している。 別に急ぐ必要もないので安全第一。しばらくすると森を抜けて家の近くに到着した。 家の前では、アネモネとミャレーが待っていた。