「ただいま~」「ケンイチ~!」「にゃ? 誰を連れてきたにゃ?」 プリムラがヘルメットを被っているので、解らなかったようだが、すぐに匂いで彼女だと解ったようだ。「マロウの娘もきたにゃ?」「ケンイチ! 私は置いてきぼりだったのに、彼女は連れてきてぇ! 貴方の中では、私はその程度の女だったのですか?! ケンイチがお付き合いしている女の中でも、私が一番だという自惚れがあったのに……」「いやいや、プリムラ落ち着け――ドゥドゥ」 バイクから降りて激昂する彼女を宥なだめる。「私は馬じゃありません!」「待て待て、ミャレーは連れてきたんじゃない。こいつは自分の鼻を使って俺たちを追ってきたんだよ」「にゃふ~、狙った獲物は逃がさないにゃ」 ミャレーは腰に手を当てて、自慢の鼻を天に向けて得意満面だ。「それじゃ、アネモネは?」「彼女は子供だ。放り出すわけにいかないだろ?」「……解りました。今日のところは、許してあげます」「今日だけなのか?」 キッ! プリムラの厳しい視線が、俺を睨む。「その人も住むの? 家が狭くなる……」 アネモネの言葉に――彼女とプリムラの間に、火花が散っているような……。「おいおい、一緒に暮らすんだから、仲良くやってくれ」「これ以上増やさないでね」 アネモネが俺に向かって言うのだが――。「……大丈夫だ」「なんで、即答じゃないんですか? まだ、どこかに女がいるのですか?」「いや、いないから心配するな。本当だって」 プリムラが詰め寄ってくるのを両手で制する――まぁ、シャガの所から救い出した女達と一緒に暮らしていた頃に比べれば、大した事はない。 ベッドが部屋一杯に並ぶ事になるが、朝起きたらアイテムBOXへ収納すれば、部屋が丸ごと使えるからな。「いくら人がいいと言っても。手当たり次第に人を助けていたら破綻しますよ」「それは、解っている。君の言うとおりだ」「にゃ~ん」 俺とプリムラが揉めていると、森の中から森猫がやって来た。「おお、ベル。仲間が1人増えたんだ、よろしくな」 だがベルは、プリムラの方を見ると尻尾を振りながら、そっぽを向いてしまった。 ちょっとイライラしているサインだ。