あの時七夕で遊ぶと決まった時、西条は凄く嬉しそうな顔をしていた。 だから、こんな風に頼むのは胸が痛い。 でも、今は桃井の方を優先しないといけないから……。 西条は困ったように頬を掻きながら、俺の眼を見てきた。「うん、いいよ。流石にそう言う理由なら仕方ないからね。…………そっかぁ、桃井もそうだったんだ……」 後半は何を言ったのか聞こえなかったが、西条はOKしてくれた。「ありがとうな。それと、遊ぶのはいつが良い?」 俺は西条にお礼を言うと、次の予定の日を確認した。 流石に、こうなったら俺の方から日程を聞くべきだからな……。「う~ん、それじゃあ、七夕の次の週の休みで良いよ」 そう言って、西条はニコッと笑った。 七夕じゃなくなったことをあまり気にしてないのか……? 俺はそう思って西条の顔を見ると、視線が俺からずれた西条は俺が見ている事に気付かず、一瞬暗い表情をした。 ……本当、ごめんな西条……。 せめて、遊ぶときは彼女を楽しませてあげよう……。「ねぇ、海斗……」「どうした?」「あのね――私はこれから桃井に尽くすけど、でも、海斗だけはいくら桃井でもあげないから!」 西条は笑顔でそう言うと、教室の方へ歩いて行った。 あいつは何を勘違いしてるんだか……。 あ――というより、俺と桃井が家族だって知らなかったな……。 桃井は折角の誕生日だから、姉弟で遊びたかったんだろう。 それなのに、俺が誕生日の事を忘れて約束を入れていたから怒ったんだ。 多分、桜ちゃんには桃井の方から声を掛けてるんだろう。 それにしても、ここ最近ただでさえ睡眠不足だったのに、今日全く寝られなかったのはまずいな……。 プログラムはもうある程度完成しているが、寝不足が原因で洒落にならないミスをしそうで怖いな……。 今日は保健室で寝させてもらおう……。 後、どうやって、桃井と仲直りするかが問題だよな……。 西条にこれ以上頼るのはまずいし、桜ちゃんにはソッとしておくように言われてるし……。 ここ最近ロクに連絡を取れてないあ・の・子・に久しぶりに連絡して、相談してみるか……。 あ・の・子・なら、多分真剣に話を聞いてくれると思うし。