そんな無茶苦茶な! と、思うだろう? 私もそう思った。だからこそ奇襲戦法として成立する。知ってさえいれば、回避の方法など幾らでもある。言わば隙だらけのクソ戦法。だが、知らない者は、咄嗟に理解できず、侮る。混乱する。見事に引っかかる。私もそうだった。彼女もそうだった。それだけの話だ。「嘘!?」 ディーの前方斜め下の地面からいきなり現れる貫通矢。完全なる不意打ち。躱せる者など、そこから矢が来ると予め分かっていた者くらいだろう。「ぐっ、ぎぃっ」 彼女に刺さった香車ロケットは2発だった。十分だ。運が良い。 私は穴から飛び出して、矢継ぎ早に《歩兵弓術》を放つ。 ディーは腹部と腰を矢が貫通したせいで、思うように身動きが取れていない。 撃つ。撃つ。撃つ。 何度も何度も、これでもかと、《歩兵弓術》を、撃つ。「――勝負あり! 勝者、シルビア・ヴァージニア!」 そして、私は勝利した。「………………」 私が、勝利した? ……嘘だろう? そこで、ようやく、私の耳は周囲の騒音を捉え始めた。 割れんばかりの大喝采。この拍手も、歓声も、全て私に向けられたもの。「…………か、勝った」 勝った。勝った。勝った……! 私、勝った! 勝ったぞ、セカンド殿!