七海は更に踏み込んで、左ストレート、右フック、左ショートフックと祐太の顔面に素早く連打を浴びせていく。七海のピンク色のボクシンググローブが祐太の頬を何度も抉り、祐太の頭が左右に振られるたびにピシャッピシャッと祐太の口から唾液が飛び散る。 祐太「ぶふぇっ!ボゥェッ!アグァッ!ゴゥェッ!」 祐太はなんとか両腕を上げ、七海のパンチをブロックした。それを見計らって七海はボディーへの連打へと切り替えていく。祐太のグローブに頭を押し付けた七海から近距離のボディ連打が始まった。ボスボスボスボスッ!と祐太の腹を七海のグローブが何度も突き刺す。 七海「フッ!フッ!」 祐太「ウェッ!オプッ!!ウェッ!オウェッ!!」 祐太が堪らず七海の頭をグローブで押して身体を離した瞬間、腰を勢いよく回しながら放った七海のオーバーハンドパンチがバキィッ!という音とともに直撃し、祐太の顔面は大きく歪んだ。頭を大きく振られた祐太はガクッとその場に膝をついた。 七海は「ハァ、ハァ」と少し息を切らしながら両手のグローブを腰に当て祐太を見下ろした。祐太は膝をついたままグローブで顔を拭った。祐太の青いグローブには唾液と鼻血がベットリと着いた。 七海「あれぇ?お兄ちゃん、もう終わり?前はもっと強かったのにね?それともワタシが強くなっちゃったのかな?」 七海の挑発にカチンときた祐太はグローブで床を突きながら立ち上がった。