鏑木夫人はころころと笑った。
その後しばらくオペラの話をしていると、鏑木夫人が「そうだわ!」と手を合わせた。
「今度、蛍狩りの会を開くの。麗華さん、ぜひいらして!幻想的な世界がお好きな麗華さんならきっと気に入ると思うの!」
「え…」
それはちょっと……。できれば全力でお断りしたい。今回だってお母様に半ば脅されて来たっていうのに。
私がなんとか断りの口実を探している間に、鏑木夫人はさっさと私の隣のお母様に話しかけて了解を取り付けてしまった。げっ!
「蛍狩りだなんて素敵だわ。麗華さん良かったわね。麗華さんは源氏物語が好きだものね」
「あら、麗華さんは源氏がお好きなの?でしたら当日は麗華さんに玉鬘になっていただかないと」
「まぁ、ほほほ。では蛍兵部卿宮はどなたかしら?」
「うちの雅哉などいかが?」
「あらぁっ麗華さん!どうしましょう。良かったわねぇ」