次に蕾と花。これらは単純に魔力を帯びていた。磨り潰して使うと、やはり魔力回復ポーション(大)になる。最後に種。効果は単純な状態異常を治す事と、独特の苦味で幻惑や、幻影、催眠系などの効果を無効に出来ることだろう。ただ、全ての箇所にいえる事だが加工をしないと保存がきかない。花や蕾は勿論のことだが、葉や茎も数日で枯れてしまう為魔法の袋は必須である。幸いにも俺には魔法空間があるので、保存には困らなかったがアイナ達には見つけ次第すぐに帰還してもらうように頼んでいた。だが、一度これらを全て使って回復ポーションを作ってみたのだが、オリゴールにあげた『万能薬(劣)』にしかならなかった。でも俺としては、やはり霊薬にはこいつが携わっているとしか考えられない。だがきっとこれだけではないのだろうとも思う。そもそもこの世界には何千人クラスで錬金術師がいて、その中の一握りがレベル9の錬金術師だったとしても数十~、過去を辿ればもっとレベル9の錬金術師がいたはずだ。その中でこんな事に気がつかないなんてありえない……はずだ。製法がわからないまま作れるだけ俺はずるいのだろうけど、それでもなんらかの手がかりは見つけているのだと思う。だが、錬金術師達にとって情報はまさに宝に値し、自分だけの秘匿とすることが多いのが問題であると思う。ともかく材料はあるので一度試して何が必要なのか試してみよう。もしかして作れないかもしれないが、その時はその時だ。前回使用した魔法陣に魔力を注ぎ、俺は以前作った霊薬を思い浮かべる。『既知の魔法陣エクスペリエンスサークル』魔法陣に魔力を注ぐと、前回よりも多くの魔力が吸い取られている感じがした。理由はわからないし、ステータスを確認しないとわからないが感覚ではそんな感じ。そして頭の中に瞬間的に作り方が流れていくのも前回と同じである。最後に、ごとりと音を立てて魔法陣の上に小さな一つの瓶が出来上がる。『霊薬 ありとあらゆる状態異常、部位欠損を直す世界最高の薬。 同時に体力、魔力を回復する』ひとまずこれで隼人には少し恩が返せるかな。霊薬はしっかりと魔法空間にしまい、あとは材料の消費をチェックだ!魔力回復ポーションを飲みながら材料をチェックする。『薬体草 54 薬体大草 23→18 薬魔草 48 薬魔大草 25→20 毒体草 31 毒体大草 18 沈省草 8 薬花ハーブ 15→10 レッドオリブル 8 ブルーリンプル 6 イグドラシルの葉 15→10 イグドラシルの茎 6→ 4 イグドラシルの蕾 6→ 4 イグドラシルの花 5→ 3 イグドラシルの種 4→ 2』となっている。材料的には……予想していたよりもはるかに少ないな。だがこれだけの量を手形勢ハンディングで磨り潰せばこの小瓶では収まらない量になるはずだ。つまりどこかで濃縮、などの手法を用いるのだろう。それが何処なのか、何をなのかは一瞬すぎてわからないが。ん? というかこの消費量ならもう一つ作れるよな。せっかくだし試してみるか。一応、さっきみたいに大量に魔力を吸われて空になって気絶しても困るので魔力回復ポーション(大)で全快にまで回復しておく。再度魔法陣を敷いて、霊薬を思い浮かべ魔力を注ぐ。だがしかし、今回は魔力だけが吸われるだけ吸われているような感覚だ……。いや、ちょっとまって。何処まで吸うの?何か何も溜まってない気がするんですけど。底の無い瓶に延々水を注いでる気分なんですけど!いやぁぁぁぁッ! ちょっと待ってってば!ねえ! これあれだよね?以前一度だけ間違えて錬金をかけてしまったときと同じだよね!?MPが湯水のようになくなっていくのがわかるんだけど!ああいいよわかったよ。覚悟は決まった。どこからでもかかってこい!でもせめて、気絶して崩れ落ちた際に頭を打ちませんように……。