そんな俺の不満を察したナポリたんが、理由説明をしてきた。「あわてるな。池谷とパイセンが同時に事件に巻き込まれたら、二人の部室での交尾行為も明らかになって廃部に近づいてしまうかもしれないし、それは避けたかったのがひとつ。ボクはバスケ部廃部回避が第一だからな」「なんじゃそりゃ」「もうひとつは、これから起きるであろう事件に対する切り札として必要だ、という判断かな。池谷に関しての信用のなさも踏まえたうえで」「……何の切り札よ」「ボクの幼なじみどもを、愚行の輪廻からまっとうな道に戻すための切り札だよ。佳世の件ももうすぐわかる頃だからな、念のため」 だが、説明はいまいち要領を得ない。おまけに幼なじみ『ども』って……俺はまともなつもりなんだけど。ひとくくりにすんな。 ………… ところで、佳世の件っていったい何だろうか。 ナポリたんに尋ねようとしたら、先に俺が質問されてしまう。「それよりも、そっちはどうなんだ?」「……は?」「祐介と白木だよ。すっかり本物の彼氏彼女として、まわりに認識されているように思えるが」「……」「本当につきあうことを考えてもいいんじゃないか?」 ナポリたんに言われて、改めて考えてしまう。 俺の心に引っかかることがあるとすれば。 ………… あれ? 俺は、何が引っかかってるんだろう。 少なくとも、俺は琴音ちゃんといて楽しいし。笑顔でいることも幸せな気持ちになることも多いし。 琴音ちゃんも同じだと思う。思いたい。 ………… じゃあ、これは恋なのか。