若い頃はさぞや美人だったのだろうと思わせる面影の残る皺の刻み込まれた顔。 そこから発せられる鋭い眼差しにさらされ、蛇に睨まれたカエルのように縮こまるエルランド。「しかし、今日のこいつの様子を見てよ~く分かったよ。こいつはエルフ一の恥さらしだ。ギルドマスターという要職に就きながら、その仕事を全うしないなんて言語道断だ」 ピシャリと厳しい言葉を浴びせられたエルランドが一層体を縮こませる。 冒険者ギルドでの仕事に相当の矜持を持っていたモイラにとって、エルランドの様子には深い怒りを覚えていたのだった。「引退したアタシだが、まだまだ仕事はありそうだね。今回は長期の仕事になりそうだよ。ま、引退しているからこそ、どれだけ長引こうが何の支障もないけどね」「そ、そんなぁ…………」 か細い声で悲鳴を上げるエルランド。 その目は絶望に溢れていた。「モイラ様。ご迷惑をおかけしますが、何卒よろしくお願いいたします」 ウゴールがモイラに向かって誠心誠意お願いする。「任せておきな。この際だ、このダメ男を一からみっちり仕込んでやるさ」「おおっ、是非にお願いいたします!」 盛り上がるモイラとウゴールを他所に、この世の終わりを目の当たりにしたような死んだ魚の目をしたエルランドがいた。 その後、ドランの冒険者ギルドでは、いつもはやんちゃで騒々しかったギルドマスターの生気のない姿が度々目撃されるようになったとさ。