「許可ということは、アズ……殿下は今日俺が来ることが分かっていたみたいですね」「はい。昨晩、エリザベート殿下が迎賓館を飛び出された後、グランドリア卿とギデオン忍軍からの報告でエリザベート殿下がレイ殿とお仲間の下に向かわれたと聞いたとき、きっと貴方が会いに来ると申されておりました」 ……なるほど。もう把握されているわけだ。 そのまま三分ほど歩き、迎賓館の奥にある扉の前まで案内される。「殿下! レイ殿がご到着です」『入室を許可します』 アズライトの許可が下りると近衛騎士が扉を開き、俺に入室を促した。 促されるままに入室すると、そこには王都で見たように文机で仕事をするアズライトの姿があった。「おはよう、アズライト」「ええ。おはよう、レイ。……そう、もう朝だったのね」 そう言うアズライトの目元には、かすかに隈があった。「寝ずに仕事していたのか?」「やることは山積みだもの。王都を離れてはいるけれど、緊急の案件や早い方が良い案件は進めないといけないわ」「そうか……」 あるいは昨晩眠れず、仕事に没頭するしかなかったのかもしれない。「アナタの用件は、妹のことでしょう?」「ああ」「厳しく命じたから、泣いて逃げたのよ」「らしいな」