どこからともなく、ウヨーリ様……という声がかすかに聞こえてきた。 私はその声に、反応もしなければ、否定もしない。 そう思いたいなら、そう思ってもいい。そのために白っぽい布をまとって、なんだか神聖すぎる感じにしたんだから。 けれども、今のところ不思議なぐらい村人たちが大人しい。誰も私に話しかけたり、顔を覗こうとしている人がいない。床に額をつけている村人ばかりだ。 ウヨーリ様の素顔を見たりすると神聖すぎるあまり失明するらしいという話もあったからだろうか。 そんなことを一瞬思って、私は呪文に集中することにした。