「善逸、俺のこといくつだと思ってんだよ?一人で留守番くらい平気に決まってんだろ?」「いやいやいや、いくつってあんたまだ7歳だからね!?しっかりしてるのは大変ありがたいけど!本当に私の子とは思えないぐらいだけど!!…平気かもしれないけどさぁ……。あ、良いこと思いついた!ちょっと待っててね」悩んでいたかと思えば、突然楽しげな音を響かせながら奥へと消えていった。一人になった縁側で、奏は先程の稽古の合間に交わした獪岳との会話を思い返す。――なぁ、獪岳はなんで善逸の味方をしてるんだ?前々から聞こうと思っていた。善逸と獪岳は互いに好き合っているというわけでもない。それに、いくら義兄妹とはいえ、あの獪岳がそれだけでここまで善逸に手を貸すとは思えない。にも関わらず住む場所を与え、なんだかんだ生活を援助し、家に帰ってきた時はこうして自分の面倒だってみてくれる。それがずっと不思議だった。――…おい。俺はあいつの味方なんて気色悪いもんじゃねぇ。つまんねぇこと聞いてんじゃねぇぞ。………あいつと俺は共犯者、ただそれだけだ。再び竹刀を構え直した獪岳は、それ以上会話を続けることを許さなかった。「ごめん、奏。おまたせ」後ろからかけられた声に奏の回想は途切れた。