「なるほど~」
野々瀬さんはなにやら楽しそうに頷いている。いや、私のことより美波留ちゃんの話なんだけど。
「美波留さんはクラスで仲のいい男子は出来たのかしら」
「仲のいい男子ですか?さぁ、特にそんな話は美波留ちゃんから聞いていませんけど。あら、麗華様は意外と恋バナがお好きなんですか?」
「えっ、そういうわけでは…」
「麗華様の恋バナ、興味ありますわー。でも聞いてはいけませんよね?」
野々瀬さんはちょっと残念そうな顔をした。いや、話せるような素敵エピソードを持ち合わせていないんです。
「私達に聞こえてくる麗華様の恋の噂は、ロマンチックなものばかりですもの。羨ましいです」
「は?恋の噂?」
「恋の詩集の話なんて、私うっとりとしてしまいました。やっぱり侍従や傭兵ではダメですね。私、麗華様を応援しています!」
「え?侍従?傭兵?」