そうか! 私はこの時を迎える為に何百年もの時間をこの常闇に閉じ込められ、このお方に出会う為に暗黒から生まれてきたのですね! 痛い! 苦しい! 気持ち良いっ!! もっと、もっと痛みを! 苦しみを! 快楽を我が身に! ああっ、素晴らしい! 駄目、死んでしまいそう……! もう、もう終わりなのですね……まこと良き時間でした。最期は貴方の手で絶頂したい。何百年と生きていて初めて抱くことのできた私の夢は、1時間と経たずに叶えられそうです。嗚呼、幸せ……。 ………………えっ? 何を……!? 貴方は、貴方は……私を回復させて……!? こ、このようなことが、現実に! ここは、夢の中なのでしょうか!? 貴方は、まさに、私の理想を具現化したような存在! 貴方のその素晴らしさは筆舌に尽くし難い! 私の運命の人! 私の主様あるじさま……! ああ、ああああああっ! 最高! もう、最、高……っ! …………。 ……ふふ、うふふふふっ。 あれから私、無我夢中で殆ど意識がなかったけれど。あの悠久を思わせる快楽の連続は、忌々しきこの体が確りと覚えています。 やっと出会えた。私の主様。 何度も何度も私を甚振ってくださる。今まで私が摘んできた儚き命たちの分だけ私を躾てくださる。痛みを、苦しみを、生の実感を与えてくださる。 主様は、帰っていってしまった。しかし私には分かる。去り際のあの玲瓏たる目は間違いなく「お前を逃がさない」と仰っていた。主様は必ずまたいらっしゃる。そしてまた私のお世話をしてくださるのです。 嗚呼、なんと素晴らしいことでしょう。願わくば、願わくばどうか、主様と共に生きたい。血湧き肉躍る死闘の末、この世で最も美しく尊いその手で私の首を刎ねていただきたい。神よ、この相反する二つの願いをどうか叶えてほしい。 初めて恋を知った少女のように、妄想が溢れて止まりません。主様、主様、主様……いつか、お名前を教えていただきたい。あわよくば、私に名前を付けていただきたい。そして、その手で、この首に……