シベリアと母親とリボ〇ナポリン 通りを歩いて百メートル、信号のある交差点を左へ。 そして曲がった先を進むが、歩けど歩けどコンビニらしきものが見えてこない。 道を間違ったかと焦ったが、三百メートルくらい歩いてようやくセイ〇ーマートを発見した。 曲がってから三百メートル歩くということを言ってほしかったよ、白木さん。 まあいい。気を取り直して中へ入ろう。 そしてセイ〇ーマートの中は、まさしく札幌のそれを再現したようなコンビニだった。 すげえ、リ〇ンナポリンやコアッ〇ガラナ、焼きそ〇弁当まであるぞ。 そういや、今は北海道でもマックスコ〇ヒーが買えるらしいな。 頑張れ千葉県。マッ缶最高。 まあ、探索はそのくらいにしておかないと、時間を食って白木さんを怒らせてしまいそうだ。ちゃっちゃと動こう。 俺は最初にまずパン売り場へと向かった。 そこで棚に並んだものを物色したが、三色パンらしきものは全く見当たらない。 が。 なぜかパン売り場の隅っこにひっそりと『シベリア』がおいてある。 すげえ。さすが成功マートだ。 やっぱり北海道のコンビニにはシベリアが常時定番でおいてあるのか。 (※そんなことはありません) 三色パンよりも探し出すのが難しいものを発見して、思わず手を伸ばす。 すると。 俺の横から、同じようにシベリアに伸びる手が現れた。 思わずビクッとして反射的に自分の手を引っ込め、横から伸びてきた手の先を見てみると。 そこにいたのは、四十代くらいの女性だった。少し穏やかそうな表情で、髪型は顎先ぐらいの長さのグラデーションボブ。 主婦なのだろうが、かなりの美人だ。「あ、ごめんなさい」 思わず謝ってしまった。女性は、穏やかな笑みを携えながら。「……いえいえ。シベリア、お好きなんですか? なら、どうぞ」 そう言って俺に譲ろうとしてきた。 まさかのシベリア狙い被り。しかもシベリアは四個入りのパッケージが一つしかない。「いいんですか? あなたも、シベリアが欲しかったんじゃ……」「いいえ。私は、ウチのお姫様が最近頻繁に『シベリア食べたい、シベリア食べたい』と言っているものだから、つい手が伸びてしまっただけなの」 ウチのお姫様? ……ああ、娘さんのことかな。お姫様というからにはかわいい盛りか。五、六歳くらいなのかな。そのくらいの年齢でシベリアが好きというセンスは置いとくとして、この女性の子どもなら、きっとかわいいに違いない。「いや、でも、お子さんが食べたがってるのを俺がかっさらうのも……」「いいんですよ。また機会はあるでしょうし」