「それじゃ、俺達はダンジョンの方へ集中しよう。近所の洞窟に、あんなのが住み着いていたんじゃ、安心して暮らせない」 それを聞いたニャメナが椅子から立ち上がった。「それだよ旦那、餌が無くなりゃこっちに来るかもしれねぇ」「そうなんだよ、それが心配だ」「よっしゃ! 旦那、決まりだ! 俺も行くぜ! むしゃくしゃしてたし、久々に大暴れしたい気分だしよ、ははは!」「そうは言ってみたものの、あんなデカい魔物を本当に退治できるかな?」「ははは! 大丈夫だって!」 何? その根拠のない自信は。 どうも、獣人ってのは、あまり深く考えない人種らしい。「魔物退治に戦力は欲しいからな――ミャレーいいか?」「仕方ないにゃ」「ははは! 洞窟蜘蛛か、こいつは腕がなるぜ」「武器は貸してやるから心配するな」「全く、至れり尽くせりだな」 ニャメナは景気良く、カップに注がれたワインを飲み干した。「アネ嬢、寝る前に俺の所へ来な」「……」「どうするんだ?」 俺の問いに、彼女はアネモネに冒険者の心得を教えると言う。 まぁ俺よりニャメナの方が経験豊富だからな。良いアドバイスがもらえるかもしれないが――。「ニャメナ、まさか葉っぱじゃないよな?」「葉っぱ? ――ああ、戦前に齧るやつかい? あれは、危ないからあまりやらない方がいいぜ」 もう、遅いちゅーの。 まぁ葉っぱじゃないなら彼女に任せるか――女同士なら色々と話せる事もあるだろうしな。