「――ということなんだけど、ロズリアはジンさんに彼女とかいると思う?」「お一つ確認いいでしょうか? リースさんという方がジンさんに好意を寄せていることをわたくしに言ってもよかったのですか?」 あっ……しまった……。 リースに内緒にするって約束していたんだった……。 アホかよ、俺……。「ばれるとまずいからここだけの話にしといて」「わかりましたけど、今後、内緒話はなるべくノートくんに話さないようにしておきます。それでどうしてわたくしに……?」 ロズリアが首を傾ける。 きょとんとした瞳が彼女のあざとかわいさを引き出していた。「恋愛方面のプロフェッショナルである人に訊くのが一番かと思って……」「わたくしがプロフェッショナルですか? 何を言ってるんですか、ノートくん。わたくしはただの一途な乙女ですよ」「あれ? 今、誰の話をしてたんだっけ?」「わたくしですよ! わ・た・く・し!」「で、冗談はさておき、ジンさんの恋愛事情を探るいい案とかあったりする?」「ちょうどやってみたかったこと……おほん。そうじゃなくていい案があります! こういうときは尾行ですよ! そうと相場が決まっています!」 どこの相場だよ……。 あと、絶対興味本位だよね? やってみたかったことって言っちゃってるし!「ジンさんを尾行するってこと?」「そういうことですね! 休日のジンさんの動向を探れば、恋人の有無はわかるはずです!」 ジンを尾行するか……。 あんまり褒められた行動じゃないんだろうが、面白そうでもあ る。 普段、ジンがどんな行動を取っているか想像もつかない分、好奇心がそそられる。 それとロズリアがさっき言った通り、自分も一度は尾行という行為をやってみたいという気持ちもあった。「まあ、楽しそうだし、いいか。ちょうど明日が休日だし尾行してみよう」「のりのりですね、ノートくん! それでこそです!」 ロズリアが右手を差し出す。それをがっちりと右手で握った。