「魔力圧縮や得られる御加護によってシュタープの品質が異なるらしい。ダンケルフェルガーとエーレンフェストの共同研究により、これから複数の神々から御加護を得る学生が増える。そして、領主会議で奉納式を行うことで、大人でも御加護の再取得ができるようになる。シュタープの品質を上げておくことは重要だ」 養父様の言葉に貴族達はひとまず納得の顔を見せた。「来年からは教育課程が変わるので、子供達の勉強は大変になるかもしれぬな」「シュタープで行っていたのは実技ですから、座学の成績にはそれほど変化はないと思われます。シュタープの取得が三年生だった頃の教育課程についてはモーリッツ先生に尋ねればわかるのではないでしょうか」 ふむ、と養父様が頷いた。子供部屋で教えていたのは基本的に座学なので、それほどカリキュラムの変更は必要ないと思う。「むしろ、売り出す聖典絵本や教育玩具によって、数年後には多くの領地の平均点が上がることを考慮した方が良いのではございませんか?」「あぁ、そうだな。発売を解禁した聖典絵本や教育玩具については、王族に献上したその場で宣伝しておいた。かなり興味を引けたと思う。プランタン商会には数を準備しておくように伝えてくれ」「冬の手仕事で作る物なので、今から命じたところで増やせません。グレッシェルが整って、取引先を増やせる来年のために、今年の冬に量産を命じる方が良いでしょう」 聖典絵本の解禁を伝えておいたので、ある程度は量産していると報告されているけれど、これから増やすのは無理だ。「そうだな。来年は取引数を少し増やすことができるでしょう、と言っておいたので、そちらの準備が優先だな」 グレッシェルの準備はどの程度進んでいるのだろうか。この報告会の結果を連絡する時に尋ねてみなければならないだろう。「初夏にはアウブ・アーレンスバッハの葬儀があり、出席しなければならない。身重のフロレンツィアを残し、私一人で向かうことになる。それに関する準備も頼む」 ゲオルギーネとの確執はともかく、隣の領地の葬儀に出席しないわけにはいかない、と養父様は言った。王族が約束してくれたフェルディナンドの隠し部屋が本当に作られているのかどうかも確認してもらわなければならないので、養父様の欠席は困る。 ……本当は自分の目で確かめたいけど……。 引継ぎと新生活の準備でいっぱいいっぱいになる上に、元々体力がなくて長旅には向かないし、わたしの護衛騎士の内の二人はゲオルギーネの前に連れていけない。こんな状態ではアーレンスバッハへ行く許可は出ないだろう。養父様に同行するとすれば、ヴィルフリートかシャルロッテだと思う。