視界いっぱいにアメシスト色の瞳があり、どうしようもなく見とれてしまう。 と、鮮やかに色づいた唇へ、花びらが一枚乗った。「あ……」 こぼれた吐息が、どこか遠くから聞こえた気がする。 桜の舞い散るなか、輝かしいとさえ思える少女がなぜか瞳を閉じてゆき……。 ふわり……。 ひどく柔らかな感触に包まれ、それが彼女の唇だということに気がついた。遅れてするりとエルフは首筋へ抱きつくと、より深く僕たちは密着をする。華奢な身体は唇のように柔らかく、いつもより熱を放っているようにさえ思えるほど。 桜とエルフ、甘い香りに包まれて僕は夢でも見ているのかと思ったものだ。