「夕飯の時に、そんな話は出なかったが?」「そんな話をしたら、あのトラ公も来るじゃにゃいか」「お前ら、そんな事で張り合うなよ」「これは獣人同士の問題にゃ」 だが、ミャレーが気になる事があると言う。「気になる事?」「虫の臭いが強いにゃ。多分、デカい虫の巣になってる可能性が強いにゃ」「虫か……でもとりあえず、行ってみたいな」「にゃ」 ミャレーと一緒にダンジョンへ潜る準備をしていたら、アネモネがやって来た。「私も行くー!」「遊びに行くんじゃないんだぞ? 魔物がいるかもしれないし」「ケンイチの冒険を助けるって、私が言ったでしょ!」 俺と初めて会った時は物言わぬ少女だったが、最近自己主張が強い。「だが、俺とミャレーがダンジョンに潜ったら、アネモネが家に1人か――どの道危険のような……」「だから一緒に行く!」「解った解った」「わーい!」 一度怖い思いをしたら、一緒に行くと言わなくなるかもしれない。 ダンジョンへ潜ると言っても、プリムラを迎えにいかないとダメなので、タイムリミットがある。 時計を出して、時間を確かめる――遅くても4時頃には迎えにいかないと。「ミャレー、どのぐらい離れた場所にあるんだ?」「ここから北へ半時(30分)程の所にある、崖の割れ目にゃ」「半時ってお前の脚で半時だろ?」「そうにゃ」 ――と言う事は、ここから10㎞ぐらい離れた場所だ。結構奥地だな。「他のデカい魔物はいないのか?」「いないにゃ」 前にも、ミャレーが言っていたが、それはそれでちょっと不自然だな。 何はともあれ、行ってみて場所だけでも確認してみなくては。 とりあえず装備を確認して、オフロードバイクを出す。アネモネにヘルメットを被せたら出発準備完了だ。 殆どの物はアイテムBOXに入っているし、足りなければシャングリ・ラで購入すればいい。 手ぶらでダンジョン攻略可能だ。