ふうん、と少女はまた同じように声を漏らす。その響きは先ほどよりも何かを楽しみにしていると分かる響きで、またマリーの機嫌を上向かせるものだったらしい。 もうひとつの貝を箸で挟むと、ご褒美というように口元に運んでくれる。まるでエルフ族から餌付けをされている気分だけど、美味しいから気にしない。「そういうときって、どうやって過ごすのが普通なのかしら。ほら、私たちはお付き合いをしているでしょう?」「うーん、それはなかなか難しい質問だ。ほら、僕らは互いに初めての恋人を迎えているからね。初めてづくしということで、一緒に相談をしながら決めようか」 こくんっと少女は頷いた。 先ほどよりもずっと楽しそうで、弾むような仕草だ。もしもこれで落胆させたら大変な事になるぞ、などという心配をするほどに。「じゃあ誰かに見つかる前に急ぎましょう。いちばん目ざといのはウリドラよ。あの人はすぐに面白そうなものに飛びついてしまうの。まるで黒猫のように」