「お~い! ミャア!」「なんにゃ?」 尻尾をふりふりやってきたミャアに、アキラがおやつを渡す。「これ、食べてみろ、美味いらしいぞ?」 アキラは先に舐めている獣人達を指さした。「こうにゃ? ぺろぺろぺろぺろぺろぺろ……」 舐め始めると、ミャアも真顔になった。獣人の女が3人、揃って真顔でぺろぺろしている。「真顔になるほど美味いのか? 何か入っているんじゃねぇのか?」 アキラがそんなこと言うのだが、そんな物を売ったら大問題になるだろうが。 食べ終わった、獣人達に感想を聞く。「そんなに美味いのか?」「……美味いにゃ」「ああ……美味い」「美味いにゃ!」 なんか、表現に苦しんでいるようだが、美味いらしい。「アキラ、美味いんだってよ」「へぇぇ」「でも、もっと塩気が欲しいような……」「そうだにゃ」「にゃ」「そういえば、猫缶も塩気が少ないな。人間の食べ物を食わせると病気になるって話だし」「塩気があったら、酒のツマミに最高だな」 ニャメナがそんなことを言う。 アキラと話をしていると、王女たちや、レイランさんたちも戻ってきた。 指差し点呼をする。置いていったりしたら、大変だ。「レイランさんたちも、大丈夫ですか? 乗り物酔いとかは?」「ええ、大丈夫ですよ」「馬車に比べたら、かなり乗り心地がいいですね」 アンネローゼさんは元貴族だ。上等な馬車に乗った経験があるのだろう。 それと比較しても、プ○ドの乗り心地はいいらしい。「何やら、化け物の腹の中にいるようで気味が悪いが――慣れれば、なんてことはない!」 一番怖がっていた女騎士が、大丈夫だって言うんだから、大丈夫か。さて、峠へ行くか?」「おう! どんなサンダーロードか、楽しみだぜ」 皆で車に乗り込むと、峠へ向けて出発した。 街道は徐々に上り坂になり右側が崖になってくる。 日本と同じ左側通行なので帰り道のほうが安全だが、遅い馬車に追い越しをかける時には緊張する。 後ろのアキラから、無線だ。