お風呂の説明を終えるとダーウィン一家の三人は帰っていった。「じゃあ大切に使えよ。あと目録が出来たらメイラを呼んで渡しておいてくれ」「いいですか!? 先ほどのお風呂の魔道具の件本当に頼みましたわよ!」「また何かあれば後ほど、二人っきりでお話ししましょうね」三人が三人置き土産といわんばかりに三様の言葉を残して去っていった。だがダーマ、その願いは聞き入れられない。お前と話す時はウェンディかシロと一緒じゃないと会わないからな。「とりあえず一息だな」「そうですね。まずはお掃除をと思ったのですが、隅々まで綺麗なのですよね」「ダーマが気を使ってくれたのかもな。まあでも今日はゆっくり出来そうでいいじゃないか」「主、テラスでお昼寝しよ」「あー。じゃあ先に作っちまうか。構造は簡単だからすぐにできるだろうし」「では私はお昼ご飯を作ってしまいますね」いいねえ。ウェンディの手料理か。はぁ、なんか新婚みたいだな。したことはないのでわからないが、これが結婚の幸せなんだろうか。実際は奥さんじゃなくて奴隷なんだけども。「おっし、じゃあウェンディは食事、シロは道具屋で革以外で丈夫そうな布を買ってきてくれ」「あい。屋台は?」「今日はウェンディがご飯を作ってくれるから無しな。お腹空かせて待ってようぜ」「あまり期待しないでくださいね」「いやいや。超期待してるよ」「もう。本当に大した腕じゃないんです」あっはっは、女の子の手料理だぜ?しかも超美人のウェンディの料理だ。例え炭化していようが、生焼けだろうが美味しくいただける自信があるぞ。「それじゃあ二人とも行動開始な」「はい」「ん」シロ、そんな全速力で駆けて行かなくてもいいんだぞって、もう見えないや。さて、早速あの快適な錬金室を利用してみるとしよう。地下に降りるとやはり少しむわっとするが、錬金室に入るとすーっと涼しくなって気持ちがいい。真夏日のような暑い日は部屋よりもここに長く滞在してしまいそうだ。すわり心地のいい作業椅子に腰掛けると、それだけで一息ついてしまう。あー。これはまずいな。このまま寝てしまいそうだ。だがシロが楽しみにしているし、俺も楽しみなので休みたい身体に鞭を打つように身体を起こす。素材は鉄でいいか。形は枠だけでいい。どうせなら大きめにした方がいいか。フレームを錬金で作っていき、足を着けて固定化させる。早……。まあ寸法も測ってないし単純な作りだしな。後はここに強めに布を巻き付ければ出来上がりだ。プールサイドにある椅子みたいだが、まあこんなもんだろう。あとはもう一個作ってみるか。こちらは一人用だがフレームはほぼ一緒で、布をピンと張らずにだらんと下げて上下でつなぎ、すぽっと収まるようにするのだ。確かこんな感じだったはず。正式名称はわからないが、吊るさないハンモックのようにゆったりと座れるはずである。折りたたみ式にする予定だったのだが、今思えば俺には魔法空間があるので元々収納スペースのことなど関係が無いことに気がついた。それにせっかくのゆっくりできる時間なので無駄に凝って時間を浪費したくないのである。「主、買ってきた」「こらシロ。ちゃんとノックをしないといけませんよ」「いいよー。入っておいで」「ん」「ご主人様、軽食ですが完成いたしましたのでお呼びに参りました」シロは大量の布を抱えておりあまり前が見えなさそうなので、ウェンディが半分を抱えて部屋の中に入る。「せっかくだからこれ使えばよかったのに」「あ……。申し訳ありません気づきませんでした」そういって指差すのは厨房と繋がっているというこの魔具。せっかくなので使ってみたかったのだが、持ってきてしまったのなら仕方ない。「今日は皆でここで食べちゃおっか。ソファーも机もあるしね」「錬金の方はよろしいのでしょうか?」「ん、もう終わってるよ」「お早いですね……そちらにこの布を巻きつけて完成ですか?」「そう。簡単だけど使えればいいかなって」