「へぇ~……」 アネモネが双眼鏡を使って壁を覗いている。「何か見えるか?」「縞々の岩が見える――あ! 鳥の巣があるよ! 雛が頭を出してる! 凹んだ所に花も咲いてる!」 こんな壁の隙間にも植物が生えてるんだよなぁ。 凄い珍しい鳥の卵等なら、崖を登る価値もありそうだが――。 元世界のツバメの巣なんかは、断崖絶壁に足場を組んだ所で採取してたよなぁ。「あ! あれ、なんだろう?!」 双眼鏡を覗いていたアネモネが、俺の興味を引くような声を上げた。「なんだ? なんか珍しい物がありそうか?」「岩の中に炎色の石が見える……」 この世界にはオレンジも橙もないので炎色なのだ。「石? 光ってるのか?」「うん、キラキラして見える」 アネモネが指差す方向を見ると、黒い縞々の地層に沿って、オレンジ色の線が微かに見えるような気がする。 何か宝石か? こりゃ確かめねば。 俺は再びドローンを出すと、そのオレンジ色の下へ向かわせた。 コントローラーのモニターに映し出されたのは――岩の間に挟まれた、オレンジ色の透き通る石の層。確かに宝石っぽい。 しかし、オレンジ色の宝石ってあったかな? 実際に採取して調べて見ないと解らない。その場所は崖の上部にあるので何か方法を考えねば。「う~ん、高い場所と言えば――高所作業車?」 早速、シャングリ・ラを検索してみる。 売っているな――色々と車種があるが、250万円~450万円ほどの値段だ。 大型の物でアームの長さが15mというのがある。ここの崖は10m程なので、こいつを買えば余裕だ。 だが崖の高さは正確には計っていないので、詳細は不明。「正確な高さが知りたいな……」 シャングリ・ラでレーザー式の距離計を検索する。前に林業をする人が持っていたのを覚えていたのだ。 日本のニ○ン製で1万5千円。説明によると550mまで測れるらしいが、他にも使い道が色々とあるだろう。 敵との距離を正確に計ったりとかな――敵って誰だよ。